グルテンフリー生活で小麦粉の代用として使われることが多い材料に、米粉があります。
米粉は普段私たちが食べている白米を粉状にすりつぶしたものですが、小麦粉を米粉に代用することで体へどのような影響があるのか、最新研究を中心に解説します。
グルテンフリーのメリットやデメリットなどについては、こちらの記事をご覧ください。
▶︎グルテンフリーの基礎知識|注目されている理由や、体への影響は?
お米を食べると頭が良くなる?
私たち日本人の主食はお米ですが、実はお米には認知機能に影響を与えるということが最近の研究で明らかになりました。
朝食にお米を食べると脳が成熟する
朝食の主食が脳にどのような影響を与えるかを調査するために、東北大学がある実験を実施しました。
実験の内容は、5歳から18歳の小児290名を、朝食の主食をもとに「ご飯」「パン」「ご飯とパン」の3グループに分け、脳の機能の違いを比較するというものでした。
実験の結果、「ご飯」のグループが「パン」のグループよりも、脳内の灰白質比が大きいことがわかりました。
この灰白質とは、脳内の神経細胞やニューロンが多く存在する部位で、小麦粉が主原料のパンよりもご飯、つまりお米を食べることで脳が成熟しやすいという驚きの結果となりました。
お米はIQにも良い影響がある
さらに、この実験では3つのグループで知的能力を表すIQの比較も行っています。
その結果、ご飯のグループがパンのグループよりもIQが高いことが明らかになりました。
エネルギーの量や栄養成分など様々な原因が考えられますが、お米を食べることが脳に良い影響を与えるというのは意外ですね。
腎臓の疾患や糖尿病の進行を遅らせる?
お米は栄養成分が豊富なことでも知られていますが、新潟工科大学の研究によりお米に含まれる白米タンパク質が腎臓疾患や糖尿病に影響を与えることが明らかになっています。
ホルモンバランスを整えるお米の力
この実験では、お米のタンパク質が分解されてできたペプチドが、消化管ホルモンであるGLP-1の分泌を促進することがわかりました。
ダイエットに取り組んでいる方には耳馴染みかもしれませんが、GLP-1とは血糖値を下げるインスリンの分泌を促進する成分です。
つまり、お米により血中のGLP-1が増加し、血糖値の上昇が穏やかになるため、糖尿病の進行を抑制する作用があると言えるのです。
また、消化管ホルモンであるGLP-1は食欲を抑制し体重の減少を促す効果があることがわかっているので、ダイエットとして取り入れられることもあるんです。
お米を食べるとコレステロール値が下がる?
お米が体にもたらしてくれる良い影響はまだまだあります。
東京農業大学の研究により、お米がコレステロール値を下げてくれることがわかり、動脈硬化やメタボのリスクを減らすことが期待されています。
お米のコレステロール値改善効果
コレステロール高値者や中高年を対象にした実験で、長期間お米を摂取することで血中コレステロールの減少が見られました。また、LDLコレステロールにおいても、同様に減少していました。
つまり、高コレステロールの人がお米を摂取することで、血中コレステロール値を改善できる可能性があることがわかってきたのです。
お米を食べると腸内環境が整う?
美肌や健康の秘訣であり、最近では「腸活」という言葉でも一般的に知られるようになった腸内環境ですが、お米を食べることで整うことが判明しました。
食物繊維の機能を網羅するお米の成分
お米にはレジスタントスターチという成分をたくさん体に供給してくれます。
レジスタントスターチとは消化・吸収がされなかったデンプンのことで、水溶性食物繊維と不溶性食物繊維の特徴をどちらも持ち合わせ、腸にとってとても良い影響があります。
さらに、ビフィズス菌やラクトバシラス属細菌など腸に良い菌の増殖を促進する効果もあります。
お米を摂取することで、腸内環境を整えることができ、美肌や健康に繋がるのです。
お米が大腸がんを予防してくれる
お米がレジスタントスターチというデンプンをたくさん供給してくれることはすでに書きましたが、デンプンは大腸がんの予防効果があると考えられています。
デンプンの摂取量が多いほど大腸がんの発症率は低く、お米を食べることでレジスタントスターチを取り込むことができるため、予防効果が期待できるんです。
お米 = 痩せるは本当?
米粉についてインターネットで検索すると、ダイエットに良いという記事がたくさん出てきますが、本当なのでしょうか?
琉球大学の研究を調べてみると、この噂の真実がわかりました。
動物性脂肪への嗜好性が軽減される
脂質はカロリーがとても高い成分ですが、その脂質を含むもので代表的なのが肉やバターなどの動物性脂肪です。
動物性脂肪を含む食品はおいしくて食べた満足感もあるため、ついつい食べ過ぎてしまいがちなのですが、お米を摂取することで動物性脂肪に対する嗜好性が軽減することがわかりました。
米糠にはγ-オリザノールという成分が高濃度で含まれており、これが動物性脂肪への依存性を軽減してくれるのです。
食べて満足できる脳に変える
さらに、このγ-オリザノールは食事のおいしさや満腹感による幸せを感じるドーパミン受容体の機能を高めることが明らかになりました。
つまり、お米は太る原因である動物性脂肪への依存を減らし、食べても満足できない脳を食べて満足できる脳へ切り替えるという、ダイエットに取り組む人にとって嬉しい効果が満載ないんです。